こんにちはリモートガールです。
いつもは割と冷静で温厚な性格の私が先日、突然感情があらぶり電話をブチ切ってしまうという失態を侵してしまいました。
自分の感情に何が起きたのか訳が分からず、家に着くや否や大量のアイスを貪る事で事なきを得ました。
「ああ、どうせ女性特有のアレの前現象なんじゃない・・・?」
そう思った方、手を挙げて下さい。
はい・・・私もそう思っていました。衝撃の事実を知るまでは・・・。
自分を「PMS」だと思い込んでいるだけだった
この動画は、ロビン・スタイン=デルーカ氏がTedに登壇した際の「月経前症候群(PMS)に関する朗報」(原題:The good news about PMS)講演です。
同氏は講演内で以下のように述べています。
世間一般に知られている月経前症候群(PMS)に関する情報は科学的根拠が無い上に、自身がPMSに該当するか否かの明確な基準が存在していません。
にも関わらず、メディアによっては80%~90%の女性がPMSに悩んでいると警告しその治療法を紹介しています。
しかし1990年代には既に詳細な研究と試験記録によってPMSは月経前不快気分障害(PMDD)として再定義され、該当する女性はたったの3~8%であることが明らかになっています。
つまり女性が思い悩むべき議題は「どうやってPMS/PMDDを治療するか」ではなく、
「何が不調を引き起こしているのか」という至極シンプルな事であるはずなのです。
なぜ、科学的根拠のない誤った情報が未だ「正しい情報」として浸透しているのでしょうか。
同氏による講演内容をブロックごとにまとめながら、紐解いていきましょう。
そもそも月経前症候群(PMS)とは?
ご自身、もしくは身のまわりに生理前になるといつもと違う様子になる女性はいらっしゃいますか?
月経周期には理不尽になってしまったり、過敏になってしまったり・・・。
特に感情の浮き沈みが目立つという方もいるかもしれません。
世間一般には生殖ホルモンの変動がこのような極端な感情を引き起こし、多くの女性が少なからずその影響を受けていると信じられています。
そしてその症状を「月1のアレ」、だなんてまるで「名前を呼んではいけないあの人」のような語り草で呼んでいる人もいるのではないでしょうか。
この極端な感情の起伏が日常生活に支障を来している場合、多くの女性は自身が「PMS」であることを思い悩むようになります。
PMDDであるか自己診断してみよう
しかしここで問題となる「PMS」はその診断に異なる症状や発症期間・症状の重さを用いているため、その正確性は定かではありません。
つまり「この症状があるならPMSですよ」という明確な定義が存在しないのです。
そのためPMSは1994年に、精神科医の手引きでもある『精神障害の診断と統計マニュアル』で明確な条件を伴った「PMDD」として再定義されました。
PMDDは以下の条件をもって該当者としています。
A:前提条件
ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が該当すること。
月経開始数日以内に症状が軽減し始め、月経終了後の週には最小限になるか消失するものであること。
B:以下の症状のうち 1 つ以上当てはまる
(1) 感情が著しく不安定になる
例:突然悲しくなる、突然涙もろくなる、拒絶に対して過敏になる
(2) 著しいいらだたしさ、怒り、興奮、または対人関係の摩擦の増加
(3)著しい抑うつ気分、絶望感、自己批判的思考
(4) 不安が高まり、緊張、および/または “高ぶっている” “いらだっている”という感覚
C:以下の症状のうち1つ以上当てはまり、 Bと合わせて5つ以上になる
(1) 通常の活動(例:仕事・学校・友人・趣味)における興味の減退
(2)集中力が低下している
(3)倦怠感・疲れやすい・または気力の著しい欠如
(4)食欲の著しい変化・過食・または特定の食物が食べたくなる
(5)過眠または不眠
(6)頭がいっぱいになり圧倒される、または制御不能という感覚
(7) ほかの身体症状(例:乳房の圧痛または腫脹、関節痛または筋肉痛、“膨らんでいる”感覚、体重増加)
※基準 A~C の症状は、先行する1年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない
※これらの症状は激しい苦痛を伴い、仕事や学校生活など日常生活に支障をきたす程度である事
参考資料|精神科からみた PMS/PMDD の病態と治療 (東京女子医科大学東医療センター精神科 大坪 天平)
大多数の女性はPMDDに該当しない
お分かり頂けたでしょうか?
デルーカ氏によると、最新の研究でPMDDに該当したのはたった3~8%だったと述べています。
男性の場合は彼女/奥様・あなたの部下・社員が上記の診断に当てはまらない場合、
毎月「アレのせいだから」と目を逸らしていた問題の根源を見直す必要があるのではないでしょうか?
PMSをまるで悪の根源であるかのように扱ってきたものの、未だ何ら解決に至っていないのも納得です。
本当はホルモンのせいではなく環境の変化によって不調を起こしたり、感情的になっているのではないでしょうか。
「PMSを治す方法」を探しあぐねる事に時間を費やすのではなく、「何が原因でいつもと調子が違うのか」を見出し原因を解決する事に注力すべきなのです。
ホルモンを理由にすることで得をする人々がいる
それではなぜ、1990年代にPMDDとして再定義されたにも関わらず未だに「PMS神話」がここまで一般的になってしまっているのでしょうか。
「女性らしさ」を保つことができる
ある女性が交際している男性に
「今日はいつもの君と違って気が立ってるね。どうしたの?」と言われたとしましょう。
1.「うるさいわね、これが本当の私の姿なのよ!!!」
2.「ちがうの。PMSのせいで生理前だけこうなるの。」
あなたが女性なら、どちらの回答を選びますか?
男性であればどちらの回答を期待しますか?
個人的には1を言っても許してくれて、一緒に原因を探ってくれる人と一生を添い遂げたいですg…
多くの女性は2を選択してしまうのではないでしょうか。
上記で述べてきた理論で言うと、この場合は「どうしたの?」の部分を深堀していく必要があるのです。
しかし、女性にとってはホルモンを怒りの理由にすることで『愛情深く、思いやりのある人』という女性らしさの定義から外されることなく、男性側も解決しようのないホルモン問題に対しこれ以上の追求を諦めます。
この都合の良い言い訳が通用してしまう限り、女性の怒りに対する周囲の反応は「ああアレの日なんだね」に留まり、本質的な問題はおざなりになってしまうのです。
PMS治療マーケットの利益になる
PMSは月経前“症候群”であり、“疾患”ではありません。
にも関わらず、世の中には数えきれないほどのPMS治療に関する商品・サービス・セミナー・医療機関が存在します。
抗うつ剤やホルモン剤が処方される場合もあります。大抵の場合、『効能には個人差があります』という注意書きがなされています。
しかし、デルーカ氏は以下のように指摘しています。
そもそもPMSが『特定の原因による特定の疾患』となるのであればその治療により多くの女性が良くなるはずです。
FDA(米国食品医薬品局)規制によると、効果があるとされる薬品はターゲットとなる人工の多数で臨床的に著しい改善が見られなけばならないのです。
つまり、これらの治療は全く役に立っていないという事になります。
通院、継続的な薬品の処方・・・を出産適齢期にある間続けるとなると、、、その経済効果は計り知れません。
「女性は感情的である」は嘘だった
デルーカ氏は終盤で(さらっと)更に衝撃的な事実を述べています。
心理学では、人の感情というものに男女差はないと言います。
ある研究で4ヶ月~6ヶ月間男女の被験者を調査したところ、双方が経験する感情のむらの質にも量にも性差は見られなかった、というのです。
「アレじゃない?」で済ませてはならない
インターネットで圧倒的多数だから、正しい。みんなが納得するからPMSにしておこう。そう信じ続けた結果、私たちは女性を月1で豹変するモンスターにしてしまいました。
こうして女性は自身に起きる不調の本当の原因に取り組む機会を失っているのです。
仕事での人間関係、タスクを抱え込み過ぎている、ご近所関係、家計のやりくり・・・
男女関係なく、私たちは日常生活の中であらゆるストレスを感じています。「アレの前だから」で済まさずに、今自分自身に何が起きているかを今一度考える時間を取ってみてはいかがでしょうか。
事実、
私が先日感情が高ぶった事の発端は、その日の仕事であらゆるタスクが一挙に出現したため一時的にパニックになっていた、という背景がありました。
落ち着いて考えればすぐに分かりそうなことですが、怒りの場面だけに居合わせた人にとっては「???」となるのも当然のこと。相手に理解してもらう為に1から説明するのも疲れてしまうので「アレの前だからだよ!」で片づけてしまいたくなる気持ちも分からないではない、と思ってしまいました。
そんな日常のストレスを感じている方はこちら( ↓ )もどうぞ
同じくTEDで語られた、既成概念をひっくりかえす衝撃的事実が述べられています。
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