中国ではもはや日常風景と化した、ダイナミックに放置されるシェア自転車の姿。
初めて中国に来た人はその数、その粗末な扱い、その利用者の多さに圧倒されることでしょう。
そんな強烈なインパクトから、中国といえばシェア自転車!と連想する人も少なくないかと思います。
しかし今回は、そのシェア自転車に並ぶ、いや、そのシェアを取って変わろうとしていると言っても過言ではないある乗り物をご紹介したいと思います。
中国で利用者が増えている電動スクーター
それがこちら、電動スクーターです。
アメリカではシェアスクーターサービスが展開され話題になっているので、その姿形を知っている方は多いはず。
かくいう私も小学生の頃、「キックボード」という名前で大流行しており、学校から帰るや否や乗り回していたのをよく覚えています。(もちろん電動ではありませんが)
「キックボード」と言われていただけに、当時は地面をキックしないと前に進まない中々ハードな乗り物だったのですが、今や電動で動く「スクーター」としてその名を替え、大人の為の移動手段として利用されています。
日本では「電動」となると途端に規制が働き、一般にはなかなか普及しにくい印象ですが、中国ではなぜこんなにも一気に利用者が増えているのでしょうか。
その理由を探ってみました。
理由1:中国では電動バイク・スクーターに免許は不要
初っ端から衝撃的なのですが、中国では電動バイク(写真)に免許は必要ありません。
ということはもちろん、電動スクーターにも免許は不要。
おまけにヘルメット着用義務や2人乗りの規制なども無く、街中にはノーヘルで子供と二人乗りをしている人もちらほら。
日本ではとても考えられない光景です。
そのハードルの低さもあいまってか、電動スクーターに乗ってみようという人、特に若い利用者が多い印象です。
理由2:道路交通法での規制がない
日本ではセグウェイやドローンなどを一般の道路で利用することはできません。これらは道路交通法で規制されている為、公園や決まった場所での利用のみが認められています。
対して中国ではこういった物の利用に対して明確な規定がなく、自由に乗る事ができます。
その替わりに、日本とはちょっと異なる道路構造をしています。
例えば写真のように、車道・その他・歩道、と3つのレーンが明確に分かれている場合。
日本では見かけない「その他」のレーンでは主に自転車や電動バイク、歩行者が利用しており、歩道よりも開けたスペースになっています。
日本のような道路構造のまま自転車やスクーターの利用者が増えてしまうと、「車」対「自転車」、「スクーター」対「歩行者」の衝突事故が多くなってしまいそう。
対して3つに分かれたこの構造であれば、歩行者が乗り物と衝突するリスクを多少は軽減できるのではないでしょうか。
理由3:ECサイトで気軽に購入できる
先日の大型セール「618」でも人気商品にランクインしていた電動スクーター。
通常の形に座席がついているのが特徴的です。このカタチもよく街中で見かけます。
ちなみにこちらはセール価格390元。日本円にして約6700円。
この値段なら、わざわざシェア自転車に乗らなくても自分で所有して持っておこう、という気にもなりますよね。
折り畳めば場所も取られないし、電動なら自転車よりも楽だし。
あれ、なんだか私も欲しくなってた…
子供たちにもスクーターブーム到来か
こういった大人たちの利用が増えた影響か何なのか、中国の子供たちのマイ・スクーター所有率が高い高い。
私の住む西安だけなのか、その真意は不明ですが、住宅街では幼稚園帰りの子供たちがスクーターに乗ってお母さんと帰宅している姿を毎日見かけます。
もちろん子供たち向けに売られているのは電動ではなくキック式のものですが、皆スイスイと乗りこなしています。
ちょっと友達の家までマイ・スクーター。
ママと一緒にマイ・スクーター。
これはある意味自動運転。
電動スクーターが自転車に取って変わるかもしれない
よくJK(女子高生)がキャッチしたものは時代の最先端、と言いますが今や子供たちも流行に敏感になっている。
彼らの世代でさえ補助輪付きの「自転車」から、補助輪付きの「スクーター」に変化しているのです。
これは中国でのシェア自転車ブームがひと段落し、電動スクーターの時代が来ている前兆なのかもしれません。
これから先アメリカのようにシェア型になるのか、それとも所有型になるのか。
シェアエコノミーも度が過ぎると大量の廃棄物。
街中に放置されるシェア自転車の二の舞にならない為にも、今回ばかりは原点回帰で個人が所有するスタイルが普及して欲しいものです。