こんにちは!リモートガールです。
今回は先日ご紹介したタクシー事情「中国でなぜ配車アプリが人気なのか」に続き、進化し続けている中国の鉄道事情をご紹介したいと思います。
中国鉄道で乗車券の発行が不要に
昨今、中国の高速鉄道から乗車券が消えつつあります。
正確には「乗車券の発行という行為」が不要になりつつある、という表現が適切かもしれません。
現在、一部の地域での乗車に必要な流れは
- 乗車券をアプリで予約する
- 駅入場時にID(身分証)を提示する
- 改札機にID(身分証)をかざす
といった3ステップ。従来の流れだと、
- 乗車券をアプリで予約する
- 引換所で乗車券を受取る or 券売機で乗車券を受取る
- 駅入場時にIDと乗車券を提示する
- 改札機に乗車券を通す
といったように、日本と同様、乗車券の発行が必要でした。
たった1ステップの違い、だと侮ってはいけません。中国の人口の多さを鑑みると、土日でもかなりの混雑。連休ともなれば駅の外まで列が連なるほど人で溢れかえります。
「ダフ屋」の転売撲滅を目指した道のり
そんな大混雑がピークに達するのが中国の旧正月、春節です。
この期間は中国国民が一斉に帰省、旅行、と同時期に移動をする1年で最大規模の帰省ラッシュが発生します。
当然、鉄道も大混雑。
アプリやスマホ決済がまだ存在していない時代、国内中の帰省者が一斉に乗車券購入窓口に殺到していました。
更にその頃の中国は乗車券の購入に際してIDと氏名の入力が不要。購入した乗車券は誰でも使う事が可能でした。
しかし、そこに目をつけた人物が事前に鉄道のチケットを買い込み、当日割高で転売するという行為が横行。
この問題を皮切りに、これら「ダフ屋」を撲滅すべく、乗車券購入時にIDと氏名の入力が必須となったのです。
更にその後、キャッシュレス化やインターネット予約の普及に伴い、乗車券そのものの発券すら不要となり、IDのみでの乗車が可能な駅も出てきたという訳です。
利用者にとっては便利で時間も短縮される一方、ダフ屋からすればIDを偽造する程のリスクを犯せる訳もなく、転売問題は無事に解決されたのでした。
とはいえ、未だに展示会等のイベント会場ではこのようなダフ屋が客引きをする姿が目に留まります。
ですがどの会場もQRコード決済やID連携を活用しているため、彼らの出る幕はほぼ無くなりつつあります。
このような中国の機敏な動きに目を見張るものがありますが、それもこれも中国の社会モデルがあってこそ成り立つスピード感であることは否めません。
外国人は窓口で発券が必要
ちなみに私たち外国人は中国IDを持っていませんので、従来通り発券窓口で予約情報とパスポートを持参して乗車券を発券する必要があります。
とはいえ「ダフ屋」による転売や偽物対策はしっかり為されており、購入時にはパスポート番号と氏名が必須、乗車券にもそれらが紐づけられています。
駅の入場時にはパスポートと乗車券の提示が求められ、同一人物であるかの目視確認をされるため、たとえ親族であってもなりすましは難しいでしょう。
したがって日本のように往復の乗車券を購入して、プラン変更で余った分をチケット売り場やフリマアプリで売るということはできません。
これらの変化は、ここ数年で一気に起きた話です。
中国の変化を感じるには最低でも1年に1度は足を運び、サービス展開に至る経緯まで知る事で今後の成り行きや他国でのパターンを予測することができるかもしれません。